2011年01月19日

アジアカップから見えた日本代表


カタールで開催されているサッカーアジアカップ。日本代表は1次リーグで、ヨルダン、シリア、サウジアラビアと対戦し2勝1分けグループ1位で突破した。

ザッケローニ監督に変わってから初めての公式戦である事や、W杯以降、多くの日本人選手が欧州クラブに移籍し結果を出し始めているタイミングでの大会だけに期待を込めて観戦しているのだが、非常に興味深く面白い大会になっている。

日本以外のチーム、特に韓国、オーストラリアの内容をよく見ていないので他のチームと比較してどうか?という様な冷静な内容の文章は書けないが、しかし今大会の日本代表は過去最強の日本代表なのではないかと感じられる。

また、現在のチームを見ていると、なぜか、今までの日本代表にあった様々な事が思い出されて不思議な感覚を感じる事があるのだ。


■選手選考で感じたこと

今回の選手選考は若手が非常に多く、ベテランと呼べる選手は遠藤くらいになっている。まあ、故障者などが多くベテランを呼べなかったという面もあったのかもしれないが、それでもこの選手選考からは世代交代を強く印象付けるものがある。

個々の選手の能力を考えれば、若手がベテランに劣っているとは言えないほど、若手であってもみなクラブで主力で戦っており、経験さえ積めば即代表の主力になれるほどのポテンシャルを秘めていることは一目瞭然だ。

今までの監督は少し世代交代の進め方が下手で、結果と成長のバランスの取り方が悪かったと思うのだが、以前と比較してベテランと若手の能力差が少なくなった事でザッケローニ監督は思い切った選手選考ができるようになったのではないだろうか。

しかし、初戦のヨルダン戦で引き分けた時にはアジアの厳しさ、戦い方を知っているベテランをもう少し連れて行ったほうが良かったのではなかったか?と思ったが、引き分けという最低限の結果が残せた事でベテランの必要性についてはボヤケたままになりそうである。


■香川真司について

今大会の目玉の一つとして、香川真司の存在がある。
ドイツリーグ前半MVP選手であり、欧州リーグトップクラスの注目選手となった香川は、今大会でももっとも活躍が期待されている選手だろう。

背番号10を与えられた事などもあり、本人もその自覚十分で、日本代表のエースである事を証明したい大会だろうと思う。

現在の日本代表のエースは、W杯で結果を残した本田圭祐という事になるのだろうが、この大会で目に見える結果を出すことで、周りを納得させたいと思っている事だろう。

しかし、ここまでの結果は本人としては少々物足りない物だろう。

香川本人も、チームも、どうにかして香川に点を取らせたいと思っている事はサウジアラビア戦を見ているとよくわかる。

10番というエースナンバーを身に着けていながら、欧州で結果を残している得意のポジションでプレーできないというジレンマは、若い香川には少なからず不満になっているだろう。
その心理状況などがプレーの精彩を欠く原因のひとつなのではないだろうか。

現在の世界のトレンドから考えれば、香川の様なプレーヤーが10番をつけるのは理解できるし、その資格も十分だと思うが、日本代表の10番という事になれば、自分的には香川にはまだ早かったかな?という気がする。(※「背番号なんてただの番号じゃーん」って人は以降の文章は無視してください)

自分の考える日本代表の10番に求められる最大の要素は、チーム全体のパフォーマンスを上げることができる選手である。

ドリブルなどの個人技に優れた香川という選手は、少しこのタイプとは異なる感じがする。


現在のチーム構成の中での香川の存在を見ていると、ワールドユース準優勝チームでベストイレブンにも選ばれた鹿島の本山とイメージが被る。
この鹿島の10番は、小野、高原、遠藤、稲本、小笠原などのタレント豊富な黄金世代のなかで、トルシエに与えられたサイドのポジションで輝いてみせた。

背番号10を与えられた事が、香川のユーティリティ性や適応力の向上などを阻害するようであれば少し残念だ。


■背番号の系譜

サウジアラビア戦では、本田が怪我で出場できなかったが、トップ下に入ったのは香川ではなく、浦和の柏木だった。
自分は個人的に柏木のプレーやパーソナリティが好きなので、非常に楽しみにゲームを見たのだが、直接得点するような場面はなかったが、代表歴が少ない割には非常に気の利いたプレーをしていたと感じた。

ダイレクトパスを多用し、全体のプレースピードを上げる効果があったと思うし、守備にも献身的で好感が持てた。

個の力でどうにかするのではなく、チーム力が最大限に発揮できるバランスを探るようなプレーは、自分が考える日本代表の10番の役割であり、柏木は名波、中村の系譜にある選手だと感じた。

本田は誰もが感じているだろうが、中田の系譜にある選手だろう。力強いプレーでチームを引っ張る、7番の系譜。

香川は森島のようなドリブルで切り裂きゲームを決める8番の系譜か。

まあ、実際には日本代表の背番号なんて選手に固定化されているわけではないので、自分のただの思い込みや、ノスタルジーみたいなものなので、気になる人は軽く読み飛ばしてほしい。


■日本代表らしさ

今回のチームは、非常に攻撃的で、しかも組織的、フィジカルにも優れる好チームの印象だ。個人のスキルも過去最高と感じられるし、全ポジションの選手が高レベルのスキルと経験を持っている。

W杯を経験したこと、欧州リーグを経験する選手が数多く存在すること、同年代の選手が多く切磋琢磨しながら上達しようとする気持ちが強いことなど、個人レベルで優れている。

また、ザッケローニという組織力最高レベルのイタリアの監督を迎えたこと、守備の文化の強いイタリア人でありながら攻撃やバランスを大事にする監督であったことなど、日本人のメンタリティにマッチしそうな指揮官を迎えたこともチーム力を上げる事に繋がっている様に思える。


サウジアラビアが弱すぎたという意見もあるだろうが、あの試合で見せた日本代表のパフォーマンスはすばらしく、特に注目したのはダイレクトパスでつなぐあのパスワークだ。

過去の日本代表にも素晴らしいパサーが数多く存在し、時折美しいダイレクトパスで相手を翻弄する場面は見られたが、今回ほど圧倒的にパスを回したシーンはあまり記憶がない。

当然ショートパスを繋ぎまくるだけで良いわけではなく、その中でロングボールで崩したり、ドリブルで仕掛けたりすることで決定的な場面が作り出せると思うのだが、自分が考える理想の日本代表はダイレクトパスを繋ぎまくるスタイルなので、今回のようなチームは大歓迎だ。

しかし、トップ下が柏木から本田に変わったら、またプレースタイルは変わってくるかもしれないが。


■次が正念場

次戦は大会開催国のカタールが相手だ。カタールとは何回も対戦しているが、日本のほうが負け越しているらしい。
しかも、相手はホームで開催国ゆえにこんなところで負けるわけにはいかないから必死になって戦いを挑んでくるだろう。現在の日本代表のチーム力を考えれば、その様な不利な状況であっても互角以上にやれると思うし、優勝すら可能だと思う。しかし、初戦のようにアジアの戦いを甘く見たり、相手の力量を見誤れば絶対に勝つことはできないだろう。

結局のところ最後は自分との闘いなのだ。
posted by Ryon at 12:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表2011 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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