2012年10月17日

遥か彼方に(日本 0−4 ブラジル)



サッカー日本代表は16日、ポーランドのヴロツワフでブラジル代表と対戦し、0−4で敗戦した。

アウェーでの強豪国との2連戦は、日本代表の現在地を知るには最適なものだと思われたが、結果は非情なものだった。


0−5で惨敗し、”サンドニの悲劇”と呼ばれたフランス戦から11年。内容はともかく、あのフランス代表相手に1−0で勝利するまでに成長した日本代表だったが、次回W杯のホスト国であるブラジル相手にまったく歯が立たなかった。

フランス戦から変わった部分としては、本田が怪我から復帰し、右SBが酒井から内田に変わった。
またFWのハーフナーが抜け、FWなしの0トップ気味の布陣という今まであまり採用されたことのないシステムが採用された。

ザッケローニ監督の対戦前のインタビューなどからは、ブラジル相手であっても攻撃的に戦うという意思が感じられたが、今回の0トップシステムは本田のキープ力と決定力に期待してのものだろう。それだけチャンスが少ないという事を予測した上で、現状もっとも現実的な対応策をとったのではないだろうか。

フランス戦を見た感じでは、日本が強かったというよりは、フランスの完成度がまだ低かったという感じだった。つまり日本戦でのフランスは、ヨーロッパの強豪国というよりは、中堅国くらいの力しか出せていないという感じだ。逆に言うと現在の日本代表もヨーロッパの中堅国くらいの力があるという感じか。


ブラジル代表の最近の戦績は、イラクに6−0、中国に8−0とアジアレベルの相手に圧勝している。
日本代表もイラクに1−0で勝利してはいるが、日本とブラジルとの間にはかなりの実力差があることがわかる。

日本−ブラジルのゲームを見た感想だが、やはり技術にかなりの差があると感じた。技術の差は攻撃力の差に直結しており、ブラジルの攻撃力と日本の守備力の差が4−0という得点に表れていた様に思う。

現在の日本代表は守備よりも攻撃の部分にストロングポイントがあり、守備にはまだ足りない部分がかなりある様に感じる。
香川、本田、清武の攻撃陣は世界レベルで見ても十分な破壊力がある様に思うが、まず守備で互角にやれなければその自慢の攻撃に移ることも叶わない。
現在の日本代表は守備的なポジションの選手たちでも、守備能力以上に攻撃時のパーソナリティを優先されているように感じられる。
ボランチの遠藤・長谷部は守備力よりはゲームコントロールやダイナミックな攻撃参加などに特徴がある選手であるし、CBの吉田・今野も元々はボランチの選手で、守備力よりも展開力に期待されている選手の様に見える。
SBの内田、長友も守備よりは攻撃に特徴がある選手だ。

日本の攻撃時にはなかなか良い展開になる場面もあったが、ブラジルを慌てさせるほどのものではなかった。
決定力、スピード、フィジカルなど、どの点を取ってもブラジルに分があり、現状では打つ手がないように思われる。

やはり、ブラジル相手に攻撃的に行くことは現状では自殺行為に等しいという事だろう。

このヨーロッパ遠征では、日本代表のできる事、できないこと、通用する部分とそうでない部分がかなりハッキリ分かった。これこそが今回の遠征で求められていた事であり、むしろこれほどの差があることがハッキリした事は良い事だったのではないだろうか。
アジアとは違う世界基準を知る良い機会となったはずだ。今後はまたW杯予選というアジアとの戦いとなるが、今回の経験を踏まえて世界基準のチーム作りを行ってもらいたい。

世界の頂点は遥か彼方だが、まだ時間は残されている。


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2012年10月11日

ザックジャパン 世界での立ち位置を知る戦いへ

サッカーの日本代表は12日午後9時(日本時間13日午前4時)から、パリ近郊のサンドニでフランス代表、16日にはポーランドでブラジル代表との国際親善試合を行う。

今回のアウェーでの国際親善試合は、ザッケローニ監督就任以来、初めて日本代表が世界基準に近い環境で戦う機会と言えるのではないだろうか。

ホームであればアルゼンチンなどとも対戦しているが、やはりホームのフレンドリーマッチでは相手の実力が100%発揮されるケースは稀で、本当の意味で世界基準を計るにはアウェーでの対戦が絶対に必要だ。
日本代表はアジアではトップの実力といって差し支えないと思うが、それ故にアジアでは世界レベルの対戦相手がほとんどいない。アジアで勝つことが容易という事ではないが、戦術的にアジアと世界を同じようには戦えないので、W杯本戦を見据えれば、W杯予選とは別の戦術・戦略、または別のメンバーなどを試す機会が必要なのだ。

現在かなりの選手がヨーロッパのクラブに所属している現状では、ヨーロッパでのアウェーゲームはコンディション的にはさほど不利にはならない。しかし、今回は何人かの怪我人が出ており、今までの延長としてのベストメンバーは選べなさそうだ。特に問題なのはチームの核である本田が別メニュー調整を続けている事である。
今までのザックの選択では、本田の代役は中村(憲)という事になるが、今回は香川トップ下もあり得るのではないだろうか。

世界から見れば、日本代表のなかでもっとも警戒するべき選手は本田ではなくマンチェスターユナイテッドのトップ下、香川真司である事は間違いない。しかしザックは頑なに香川トップ下を拒んできた。

これまでの日本代表は、本田の持つ類まれなキープ力をキーとした戦い方で結果を残してきた。FWにキープ力の高い選手のいない日本代表では本田がその役割の一部を担っているわけだが、その結果、本田不在時の代役にもそれに近い役割が求められており、香川のようなスピードやクイックネスを特徴とする選手よりは中村や長谷部、柏木などのキープ力がある選手が選ばれてきたのだろう。だが、アジアレベルの戦いであればそれでも通用するかもしれないが、今回戦うフランス、ブラジルレベルのチームであれば、今までよりもさらに高いレベルの強さが求められる。そこで日本最高と認識されている香川のトップ下起用が、もう一つのスタンダードとして使えるようになる事が望ましい。

2001年、中村・名波を中心に世界レベルのモダンな戦術でアジア大会を圧倒的な強さで制しアジアチャンピオンの日本代表は、自信を持って、サンドニでのフランス戦を戦った。しかし0−5という大差で敗れアジアと世界の差をチームとしても個人としても痛感した。あの戦いでフランスと互角にやれたのはイタリアでプレーしていた中田(英)ただ一人だったが、今ではチームのほとんどが海外経験を持つまでに成長している。
対戦相手であるフランスは、あの当時ジダン、アンリなどを擁するまちがいなく世界最高のチームだったが今回のチームは強豪には違いないがそこまでの強さは無いだろう。しかしヨーロッパレベルでは平均以上の強さを持つことは疑いようがなく、それ故に今回の対戦により日本代表の世界での立ち位置が明確になるのではないだろうか。

今回のフランス戦で良い戦いをして、その勢いで世界トップレベルの攻撃力を持つブラジルに挑んでもらいたい。

間違いなくザックジャパンとしてのターニングポイントとなるはずだ。

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2011年01月19日

アジアカップから見えた日本代表


カタールで開催されているサッカーアジアカップ。日本代表は1次リーグで、ヨルダン、シリア、サウジアラビアと対戦し2勝1分けグループ1位で突破した。

ザッケローニ監督に変わってから初めての公式戦である事や、W杯以降、多くの日本人選手が欧州クラブに移籍し結果を出し始めているタイミングでの大会だけに期待を込めて観戦しているのだが、非常に興味深く面白い大会になっている。

日本以外のチーム、特に韓国、オーストラリアの内容をよく見ていないので他のチームと比較してどうか?という様な冷静な内容の文章は書けないが、しかし今大会の日本代表は過去最強の日本代表なのではないかと感じられる。

また、現在のチームを見ていると、なぜか、今までの日本代表にあった様々な事が思い出されて不思議な感覚を感じる事があるのだ。


■選手選考で感じたこと

今回の選手選考は若手が非常に多く、ベテランと呼べる選手は遠藤くらいになっている。まあ、故障者などが多くベテランを呼べなかったという面もあったのかもしれないが、それでもこの選手選考からは世代交代を強く印象付けるものがある。

個々の選手の能力を考えれば、若手がベテランに劣っているとは言えないほど、若手であってもみなクラブで主力で戦っており、経験さえ積めば即代表の主力になれるほどのポテンシャルを秘めていることは一目瞭然だ。

今までの監督は少し世代交代の進め方が下手で、結果と成長のバランスの取り方が悪かったと思うのだが、以前と比較してベテランと若手の能力差が少なくなった事でザッケローニ監督は思い切った選手選考ができるようになったのではないだろうか。

しかし、初戦のヨルダン戦で引き分けた時にはアジアの厳しさ、戦い方を知っているベテランをもう少し連れて行ったほうが良かったのではなかったか?と思ったが、引き分けという最低限の結果が残せた事でベテランの必要性についてはボヤケたままになりそうである。


■香川真司について

今大会の目玉の一つとして、香川真司の存在がある。
ドイツリーグ前半MVP選手であり、欧州リーグトップクラスの注目選手となった香川は、今大会でももっとも活躍が期待されている選手だろう。

背番号10を与えられた事などもあり、本人もその自覚十分で、日本代表のエースである事を証明したい大会だろうと思う。

現在の日本代表のエースは、W杯で結果を残した本田圭祐という事になるのだろうが、この大会で目に見える結果を出すことで、周りを納得させたいと思っている事だろう。

しかし、ここまでの結果は本人としては少々物足りない物だろう。

香川本人も、チームも、どうにかして香川に点を取らせたいと思っている事はサウジアラビア戦を見ているとよくわかる。

10番というエースナンバーを身に着けていながら、欧州で結果を残している得意のポジションでプレーできないというジレンマは、若い香川には少なからず不満になっているだろう。
その心理状況などがプレーの精彩を欠く原因のひとつなのではないだろうか。

現在の世界のトレンドから考えれば、香川の様なプレーヤーが10番をつけるのは理解できるし、その資格も十分だと思うが、日本代表の10番という事になれば、自分的には香川にはまだ早かったかな?という気がする。(※「背番号なんてただの番号じゃーん」って人は以降の文章は無視してください)

自分の考える日本代表の10番に求められる最大の要素は、チーム全体のパフォーマンスを上げることができる選手である。

ドリブルなどの個人技に優れた香川という選手は、少しこのタイプとは異なる感じがする。


現在のチーム構成の中での香川の存在を見ていると、ワールドユース準優勝チームでベストイレブンにも選ばれた鹿島の本山とイメージが被る。
この鹿島の10番は、小野、高原、遠藤、稲本、小笠原などのタレント豊富な黄金世代のなかで、トルシエに与えられたサイドのポジションで輝いてみせた。

背番号10を与えられた事が、香川のユーティリティ性や適応力の向上などを阻害するようであれば少し残念だ。


■背番号の系譜

サウジアラビア戦では、本田が怪我で出場できなかったが、トップ下に入ったのは香川ではなく、浦和の柏木だった。
自分は個人的に柏木のプレーやパーソナリティが好きなので、非常に楽しみにゲームを見たのだが、直接得点するような場面はなかったが、代表歴が少ない割には非常に気の利いたプレーをしていたと感じた。

ダイレクトパスを多用し、全体のプレースピードを上げる効果があったと思うし、守備にも献身的で好感が持てた。

個の力でどうにかするのではなく、チーム力が最大限に発揮できるバランスを探るようなプレーは、自分が考える日本代表の10番の役割であり、柏木は名波、中村の系譜にある選手だと感じた。

本田は誰もが感じているだろうが、中田の系譜にある選手だろう。力強いプレーでチームを引っ張る、7番の系譜。

香川は森島のようなドリブルで切り裂きゲームを決める8番の系譜か。

まあ、実際には日本代表の背番号なんて選手に固定化されているわけではないので、自分のただの思い込みや、ノスタルジーみたいなものなので、気になる人は軽く読み飛ばしてほしい。


■日本代表らしさ

今回のチームは、非常に攻撃的で、しかも組織的、フィジカルにも優れる好チームの印象だ。個人のスキルも過去最高と感じられるし、全ポジションの選手が高レベルのスキルと経験を持っている。

W杯を経験したこと、欧州リーグを経験する選手が数多く存在すること、同年代の選手が多く切磋琢磨しながら上達しようとする気持ちが強いことなど、個人レベルで優れている。

また、ザッケローニという組織力最高レベルのイタリアの監督を迎えたこと、守備の文化の強いイタリア人でありながら攻撃やバランスを大事にする監督であったことなど、日本人のメンタリティにマッチしそうな指揮官を迎えたこともチーム力を上げる事に繋がっている様に思える。


サウジアラビアが弱すぎたという意見もあるだろうが、あの試合で見せた日本代表のパフォーマンスはすばらしく、特に注目したのはダイレクトパスでつなぐあのパスワークだ。

過去の日本代表にも素晴らしいパサーが数多く存在し、時折美しいダイレクトパスで相手を翻弄する場面は見られたが、今回ほど圧倒的にパスを回したシーンはあまり記憶がない。

当然ショートパスを繋ぎまくるだけで良いわけではなく、その中でロングボールで崩したり、ドリブルで仕掛けたりすることで決定的な場面が作り出せると思うのだが、自分が考える理想の日本代表はダイレクトパスを繋ぎまくるスタイルなので、今回のようなチームは大歓迎だ。

しかし、トップ下が柏木から本田に変わったら、またプレースタイルは変わってくるかもしれないが。


■次が正念場

次戦は大会開催国のカタールが相手だ。カタールとは何回も対戦しているが、日本のほうが負け越しているらしい。
しかも、相手はホームで開催国ゆえにこんなところで負けるわけにはいかないから必死になって戦いを挑んでくるだろう。現在の日本代表のチーム力を考えれば、その様な不利な状況であっても互角以上にやれると思うし、優勝すら可能だと思う。しかし、初戦のようにアジアの戦いを甘く見たり、相手の力量を見誤れば絶対に勝つことはできないだろう。

結局のところ最後は自分との闘いなのだ。
posted by Ryon at 12:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表2011 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月02日

日本サッカー界が得たもの(2010年W杯総括)


■すばらしい結果を出した日本代表

日本代表の2010年ワールドカップが終了した。

結果は皆さんご存知の通り、予選リーグを突破しての「ベスト16」だったが、現実的な目標値をクリアするすばらしい結果だったと思う。

正直なところ本戦前の状況から考えれば、これはあり得ないほどの成功であり誇るべき結果だろう。

大会中、大会後の(試合に出て結果を出した)選手たちのポジティブな感想を聞いていても、今回のチームが一戦一戦進歩し、良い状態をキープしていた様子が伺えた。


■ポゼッションサッカーから守備的システムへ

大会前にあれほど苦しんでいたチームがなぜこれほどの結果を出せたのだろうか?

もっとも大きな理由は、本田を1トップ、阿部をアンカーに置くシステム変更とゾーンで守る事を徹底した戦術的な変更がある。

本戦前までの日本代表は中村(俊)を中心としたショートパス主体のポゼッションサッカーを志向していた。右サイドの中村(俊)、内田という攻撃に特徴のある選手の仕掛けからチャンスを作り得点するという事をひとつの武器としていたが、本番を前にこの二人のコンディションが上がらず、結果守備力の低い普通の選手となってしまっていた。

守備に穴がある状態では世界レベルのチーム相手では勝ち目が無い事を、国内最終戦である韓国戦の惨敗で認識した岡田監督は、本戦まで1ヶ月を切った時期にもかかわらず、3バックやアンカーを置く守備的システムの模索を始めた。

その後のイングランド戦、コートジボワール戦で阿部をアンカーに置く4−1−4−1システムの採用と、低い位置でのゾーンディフェンスからのカウンターという、”失点しない事”を第一目的とした戦術で、ある程度守れるという感触だけは得ることができた。

しかし、得点を取らなければ勝てないのがサッカーだ。

一人の能力で点を取れるような、特別なFWがいない日本代表では、今まで、より多くのチャンスを作り出す事で得点の確率を上げようと試みてきた。その為のポゼッションサッカーであり、決定的なチャンスを作れる中村(俊)だったはずだ。

中村(俊)を外し、ポゼッションを捨て、ボールを奪ったらカウンターというチームに生まれ変わりながら、特別なFWがいない新しい日本代表は、サイドに大久保、松井という運動量もありスピードのある選手を配置する事で、チャンスを作る事を考えた。しかし、大久保・松井がサイドを駆け上がりチャンスを作るためには、どこかでその為の時間を作らなければならない。

普通であれば、1トップにボールをキープできるポストプレーヤータイプのFWを配置し、そこで中盤の選手が上がるための時間を作りたいと考えるはずだ。しかし、岡田監督が選んだ23人にはその様なタイプのFWは選ばれていなかった。

結果、新しいシステム、戦術を機能させるために不可欠なポジションは、23人のなかでもっともフィジカルが強く、決定力のある本田が務める事となった。

本田がこのポジションとなったもうひとつの背景としては、守備的なシステム変更により、中盤に本田が入るポジションが無くなってしまった 事があげられる。


■1勝の重み

初戦のカメルーン戦で勝利しなければ、おそらくグループリーグを突破することができない。勝利が絶対条件というプレッシャーの中で日本代表は結果を残すことに成功した。

カメルーンの調子がそれほど良くなかった事が最大の理由だったと思うが、それでも日本の守備戦術は良く機能しており、得点のシーンも日本が思い描いていた形でのものだっただけに選手たちは”やれる”という自信をつけたのではないだろうか。

特に攻撃では、松井、大久保、本田がそれぞれの役割をキッチリとこなし、流れの中から得点まで取ったのだから文句のつけようがないものだった。

ここでの1勝があったからこその、ベスト16だった事は間違い無い。


■積み上げてきたもの

今回の日本代表を見ていると、何もかもがうまく噛み合っていた印象がある。

特に特筆するべき点は

◎ケガ人や出場停止などの選手がでなかった。

◎高地での試合が多かったが高地対策がうまくいっていた。

◎各国が苦労していた公式球”ジャブラニ”をさほど苦にしなかった。

◎ベテランや控え組がうまくチームを盛り上げてくれた。

◎目標設定を「ベスト4」としていたことで、決勝トーナメント進出後にも気の緩みが出なかった。

◎ゲーム中に試合を決定づけるようなチョンボが無かった。



ケガ人や出場停止選手が出なかった点については運の要素もあるが、それ以外の項目については、ここまで日本代表が積み上げてきた過去の経験を、監督・選手・スタッフ・その他の関係者が重要視し共有できていたという事を証明するものだ。


■日本サッカー界が得たもの

今回の日本代表は、途中まではオシムさんが作ってきたものをベースに発展させようとしたものだったが、最終的には日本人だけで工夫して考えて作ったものになった。

私は岡田監督が日本代表監督になることには最初から反対だったし、今でももっと良い選択肢はあったはずだと思っている。

岡田監督は、最終的に結果は出したが、もう少し早く日本代表と世界との力関係を把握する事は可能だったと思うし、そのための準備や選手選考などにも時間をかける事が可能だったはずだ。

開き直りの一夜漬けテスト勉強でたまたま結果が出ただけと言われても反論は出来ないのではないだろうか?

だが、より良い選択はあったにせよ、今回オール日本人スタッフでワールドカップを戦ったことにも意味や成果はあり、今後の日本サッカーの発展を考えると今回の経験はかけがえのない財産になったような気がする。

一番の成果は、”日本サッカー界の現在地がわかった事”ではないだろうか。

日本サッカーは、多くの外国人指導者や外国人選手などの指導により急速に発展してきた。世界で勝つための多くの方法やメンタリティが取り入れられ、その都度トレンドを変えながら多くの事を吸収してきた。

その多くは選手に還元され、多数の選手の海外進出を進めた。そして個々の選手が世界的に見ても価値があり、通用するという感覚を得る事ができたのだ。

しかし、これまでの日本代表では個々の選手のレベルアップがチームにうまく還元されず、その理由がどこにあるのかもぼやけていたような気がするのだ。

ある監督は、「日本人には守備の文化が無い」と言った。
ある監督は、「フィジカルが弱い」と言った。

日本人としての強み、弱みを理解してチームを作ろうとすれば、最後にこんな言い訳は出てこないのではないだろうか?。

すべて日本人で作り上げた今回の日本代表は、スペクタクルなチームでも攻撃的なチームでもなかった。試合の内容は、日本人で無ければ退屈だと批判されるものだったかもしれない。しかし、予選リーグを突破し、決勝トーナメント1回戦を引き分け、(PKというルーレットのようなもので運悪く負けてしまったが)限りなくベスト8に近づいたのは事実だ。

これは全員が日本人だったからこそ、日本人の強さ・弱さを理解していたからこそ成し遂げられた快挙だと思う。

今現在、日本サッカー界が世界のどの位置にいるのかは今回のワールドカップでわかった。だからこそ、日本サッカー界に関わるすべての人たちは、ここから、世界のトップを目指すために何が足りなくて、何を強化しなければならないのかを真剣に考えなければならない。


今回の日本代表はサッカーのすばらしさをたくさんの人たちに伝えてくれたし、日本人が本来美徳とする献身・努力・思いやりなどを改めて考えさせてくれたという意味に置いても価値のあるすばらしいチームだったと思う。

PKのような不条理なかたちで散ってしまった事は少し残念だったが、それはそれで日本らしい美しい散り方だったと思えてならない。

記録とともに記憶にも残る美しい散り方だった。
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2010年06月06日

今のやり方で、何かを残せるか?

今さら球際がどうとかなんて感想はない。ただ、自分たちの良さをなくしてしまったような気がする。(守備のやり方を変えたから?)そのことだけじゃない。しっかり戻って守るって話は前から言っていたこと。今からハットトリックできる攻撃力を出せるわけじゃないし、今までやってきたことしかできないんだから。
【内田篤人(鹿島アントラーズ)-コートジボワール戦後コメント】


今まで積み上げてきたものがちょっとずつ消えてきている。カウンターが怖いからといって、サイドハーフとサイドバックが連動して上がる今までのスタイルが全くなくなってしまった。
【中村俊輔(横浜F・マリノス)-韓国戦後コメント】


アジアでの戦いと、世界との戦いでは日本の立ち位置が変わってくるのだから当然同じような戦略でうまくいくわけは無い。しかし、長い予選や数々のテストマッチが直接ワールドカップの為の準備につながっていないとすれば、なんと無駄な時間を過ごしたのかという思いが湧きあがってくる。

岡田監督もワールドカップで結果を出すために、システム変更やメンバー変更をしているのは分かるし、守備システムを整備している現在のやり方は、理にかなった方法だと思える。しかし、いまさらか?と思う気持ちも同じくらいある。

ここにきてからのシステムおよび選手の変更により、今まで選手達がチームの強みだと思って磨いてきたものが、まったく無駄であったかのごとく失われているという現実もある。


不運なところもあったけど、結果をしっかり受け止めたい。どうやっていくべきかが見えたシーンはいくつかあった。分かっている通り、単純につないでも崩せない。最終的にカウンターを使ったり、シンプルにサイドを使った時にゴール前まで行っている。自分たちの形をもっと作りたい
【本田圭佑(CSKAモスクワ)-コートジボワール戦後コメント】


本番ギリギリの今『自分たちの形』をまた模索しなおさなければならない選手たちは不幸ではないか。

現在発売中のnumber 7/15号で「今回のワールドカップに何を望むか?」という問いに対して、中村俊輔は以下のように語ってる。

大げさな言い方をすれば、日本代表は”こうあるべきだ”というものを残したい。もちろん、監督が代わり、メンバーが変われば、チームって変わるものだけど。 〜中略〜 もしかすると、そういうものが確立されるには、あと10年、20年必要なのかもしれない。けど今回のワールドカップがヒントになったとか、方向性が見えたとか、そういわれるものが残せればうれしい。


おそらくオシム前監督が作りかけていた日本代表と、その延長線上にあったはずの今のチームが、新しい日本代表のスタイルを残せるという確信が中村にはあったのだろう。同numberにおいて中澤も『日本サッカーの伝統』というような表現で似たような事を言っていたが、オシム前監督から指導を受けた選手は皆似たような気持ちを持っているのではないだろうか。

”どんな方法でも勝てば良い”という人もいるだろうが、私個人の気持ちとしては、付け焼刃の様な対応で結果を求めるのではなく、”これが日本が目指していたサッカー”だと思えるようなサッカーで世界と戦ってほしいと思っている。

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2010年06月04日

最終テスト コートジボアール戦のポイントは?

6/4、日本代表は W杯前の最後のテストマッチを行う。対戦相手はコートジボアールで90分+45分の変則マッチになるそうだ。

このゲームの1番の目的はカメルーン対策で、アフリカ勢特有の身体能力への適応ということになるのだろうが、さらに先日のイングランド戦で試した4-1-4-1(岡田監督的には4-1-2-3との事)システムの守備部分の再確認と、その時にはあまり出来なかった攻撃部分の調整が加わる。

守備部分については、ブロックでプレスをかけて奪うやり方が70分限定ではあったが、ある程度機能したので、今日のゲームでは90分やりきる事が出来るのかが注目される。

また、今日のゲームで「どのようにして点を奪うのか?」という部分で何かしらのアプローチを見せてくれる事に期待したい。
個の力でどうにかできるなら、それでも良いのだが、それほど突出した選手がいない日本だからこそ、個の力に頼るようなやり方ではなく、日本人の特徴を生かした、チームとしての戦略を見せてほしい。

今日のゲームによって、レギュラーとサブという立場が明確になり、マスコミはいろいろな事を言ってくるだろう。しかし選手は、全員でひとつのチームであり、全員に重要な役割があるのだという事を自覚してほしい。選手一人一人がリスペクトしあえるような、すばらしいキャリアの選手たちが集まっているのだから、自分たちも、私たちファンにも悔いの残らない大会にしてもらいたい。

ドイツの時のような終わり方だけはもうしたくない。
posted by Ryon at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表2010 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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